免疫反応を抑制するはたらきのある制御性B細胞は、表現型としてCD5陽性CD1d強陽性を特徴とする牌臓B細胞であり、CD23弱陽性CD21強陽性を示し、IL-10の産生が機能的な特徴であるが、全身性エリテマトーデスのマウスモデルであるNZB/NZW F1マウスにおいて、この制御性B細胞のはたらきを検討した。B細胞に特異的に発現する膜表面蛋白であるCD19を欠損したNZB/NZW F1マウスでは、C57BL/6のバックグラウンドの場合と同様に、B細胞の著明な活性化不全が認められ、これはCD19の細胞質ドメイン上のチロシン基を介したSrc-familyチロシンキナーゼやPI-3キナーゼの活性化が障害されるためによるものと考えられた。にもかかわらず、抗核抗体や抗dsDNA抗体の産生は抑制され、その一方で、糸球体腎炎の発症(蛋白尿)や生存率はCD19の欠損により逆に悪化することがわかった。これは、CD19欠損マウスにおいて制御性B細胞の数が減少しているためと考えられた。野生型マウス(NZB/NZW F1バックグラウンド)からの制御性B細胞を含んだB細胞分画の移入によって、CD19欠損NZB/NZW F1マウスの腎炎発症および生存率は有意に改善した。また、制御性B細胞の移入によって牌臓における制御性T細胞の増加も認められた。以上より、全身性エリテマトーデスの症状発現の抑制においても制御性B細胞の関与が重要であることが示唆された。
|