ヒト化NOGマウス経膣HIV感染モデルの作成と同モデルにおけるCCR5阻害薬のHIV感染予防効果の検討 まず経膣HIV感染モデルの作成を第1の目的とする。ここで問題となるのは膣内粘膜の創傷をいかに作るかという点であるが、ケミカルピーリングに頻用されるグリコール酸を正常マウス膣内に注入した実験において、膣内粘膜の完全欠損およびその再生を確認している。また、従来のSCIDマウス体表にヒト皮膚を移植するだけのモデルでは、植皮片とSCIDマウスリンパ管との交通が観察されないためヒト皮内LC/DCが所属リンパ節に遊走できず、ヒト皮膚における感染制御システムの検討は不可能であったが、この系ではHIVに感染した膣内粘膜LCがリンパ節に遊走することが十分期待できる。 これらの手法をヒト化NOGマウスに応用することで、膣内に曝露されたHIVは再生膣粘膜内ヒトLCに感染し、さらに感染LCがリンパ節に遊走することで、リンパ節内ヒトT細胞へHIVが播種され、AIDSを発症することが期待される。 ヒト化NOGマウス皮膚におけるヒト樹状細胞の解析:ヒトCD34陽性血液幹細胞からDCへのin vivoでの分化が観察されたが、移植3か月後のヒト化NOGマウス皮膚にはヒトLC/DCは存在しなかった。そこで、ヒト化NOGマウス背部皮膚に皮膚欠損を作成し、1か月後その創傷治癒後の組織を免疫染色して、表皮/真皮内にヒトLCおよびDCを観察すると表皮内にMHC class II陽性のヒトLCが観察された。 また、我々は、正常マウス膣粘膜を損傷させるためにグリコール酸を膣内に注入した実験において、粘膜の完全欠損およびその再生をした。さらに、ヒト化NOGマウス膣内にグリコール酸を注入し粘膜創傷を作成し、4週後に創傷治癒後の組織を抗hCD11c/Langerin抗体で組織染色し、ヒト化NOGマウス膣粘膜内のヒトLC/DCの再構成を確認すると、粘膜内に抗hCD11c/Langerin抗体陽性のヒトLCが確認された。
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