| 研究概要 |
三重大学附属病院耳鼻咽喉科では重症のスギ花粉症患者に対して、スギ花粉標準化アレルゲン治療エキスを用いた皮下及び経口の減感作療法を施行し、鼻粘膜・眼症状の改善など良好な結果を得て来た。抑制性T細胞(以下Tregと略する)は、免疫の調節因子として注目されているが、申請者らは減感作治療が効果的な理由を患者の治療に用いるスギ花粉標準化エキスの投与によりスギ花粉特異的Tregが誘導され、飛散した花粉によるT細胞の反応増殖を抑制しているという事実を本年度報告した(JACI,124,842,2009)。更なる研究により以下の点も判明した。
1.スギ花粉標準化アレルゲン治療エキスを用いた皮下及び経口の減感作療法を施行し、良好な結果を得ているスギ花粉症患者からインフォームドコンセント取得後、血液約20mLを採取した。PBMCを精製しIL-10産生抑制性Tリンパ球の割合を経時的に調べた。結果、減感作療法試行群では経時的にIL-10産生抑制性Tリンパ球の増加を認めた。
2.花粉症の患者では正常群に比して、IL-10産生T細胞のみならずIL-10産生monocyteの割合も少ない事が判明した。アレルギーの罹患と関係する可能性もあり更なる研究を行う予定である。
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