研究の目的 本研究はラミニン5由来の合成ペプチドの角化細胞遊走刺激効果が動物での治癒促進効果に結びつくかを検証し、最終的には局所投皮再生」を促進させる潰瘍治療薬の開発を目的とする 研究成果。a)マウス背部皮膚:C57BLマウス背部に潰瘍を作成し、活性ペプチドの皮膚創傷治癒効果を検討した。 ラミニン5由来の合成ペプチドペプチド濃度1μg/ml水溶液を投与しテガダーム被覆した。 b)ウサギ耳介内側皮膚:ウサギの耳介内側皮膚を軟骨上で剥離して皮膚欠損を作成し、ペプチドを投与、組織標本を作製し、数量的に解析したところ、合成ペプチドは表皮再生を促進することを確認した。 c)細胞遊走活性アッセイ:Primary角化細胞、HaCaT細胞を使用した金コロイド貪食法またはスクラッチ法によりペプチドの活性を半定量化しえた。この遊走刺激効果の機構は、現在のところラミニンペプチドがシンデカン4に結合し凝集を引き起こす。これに次いでインテグリンβ1が凝集し、構造変化と共に活性の増強を起こすことが判明した。構造依存性モノクローナル抗体を用いたフローサイトメーターの解析により、この機構はインテグリンβ1のアロステリック機構を介するものと考えられた。
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