研究概要 |
本研究では、最も頻度の高い神経疾患であるてんかんの根治的治療を達成しうる新たな治療法の開発と実用化のために,ヒトの夜間前頭葉てんかんの病態を獲得した真のてんかんモデル動物を用いて、てんかんの分子病態の解明をめざす。さらに,遺伝子およびタンパク質の機能変異/発現変異を制御(補正)する薬剤による予防的治療法の基本的ストラテジーを提示することにより,夜間前頭葉てんかんの予防的治療法を確立する。平成21年度は、平成20年度の研究計画で得られた分子生物学的な変異と神経科学的変異を、wild-typeとS284L-TGで比較検討し、ADNFLE/sNFLEの病態カスケードを立案し、仮説的病態カスケードに従ったてんかん原性機構の発生防止を標的とした低分子化合物の選定を行った。この薬剤(未発表のため薬剤名は記載しない)を用い、ヒトの夜間前頭葉てんかんの病態を獲得した真のてんかんモデル動物としてニコチン性アセチルコリン受容体α4(nAChR alpha4)S284L遺伝子導入(TG)ラットならびにその対照としてnAChR alpha4 S284L WT (LM)の8,10,12週齢に対して、効果判定を行った。in vitroでの神経伝達機能変異の解析(パッチクランプ法)、けいれん発作モニタリング(行動観察と脳波記録)を実施したところ、けいれん発作の抑制が認められた。薬剤の投与量、時期、期間をさらに調整していくことにより、てんかん原性を完全抑制の可能であることが示唆された。
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