研究概要 |
課題1)母子分離(NI)と学習性無力(LH)試験を用いた難治性うつ病モデルラットの海馬マイクロRNA(miR)-132発現の解析:難治性うつ病モデルであるNI+LHラットと正常飼育+LHラットとの間で、BDNFの転写に密接に関与するMeCP2の転写以後の過程に関与する、miR-132発現を解析した。その結果、NI+LH群では有意なmiR-132発現の低下がみられ、MeCP2発現の亢進を介したBDNF発現の減少がうつ病難治化に関連している可能性を示した。 課題2)量子分離(NI)と学習性無力(LH)試験を用いた難治性うつ病モデルラットの海馬miR発現の解析:昨年度までの研究から、難治性うつ病モデルであるNI+LHラット海馬に特徴的なmiR発現としてmicroRNA expression arrayを用いて抽出したmiR群を、real-time PCR法を用いて個別に解析した。その結果はarrayのスクリーニングとは異なり、miR-103,-107の発現はNI+LH群で有意に減少していた。その他にはmiR-30a,miR-200 familyに属するmiR-141,-200aの有意な発現減少がNI+LH群で得られ、これらの結果はmicroRNA expression arrayの結果と同一であった。難治性うつ病モデルで解析したいずれのmiRも発現減少であったため、liporectamine 200を用いたmiR発現抑制実験は行うことが出来なかった。 本年度の結果からは、うつ病難治化の基盤と考えられている海馬スパイン・ダイナミクスの障害を導くBDNF発現の減少に関して、寄与が推測されるのはmiR-132の低下のみでmir-103,-107は無関係であると考えられた。
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