研究概要 |
1.ウレタン麻酔したラット視床下部室傍核にダイアリシスプローブ介して投与した1mM NMDAによる室傍核のノルアドレナリン(NA)遊離増加および血中カテコールアミン(ノルアドレナリンおよびアドレナリン)増加は、(1)0.1mM MK801(NMDA受容体遮断薬) (2)0.25mM heat(α1受容体遮断薬)(3)25μM U-73122(PLC阻害薬)(4)1.4mM RHC-80267(Diacyl glycerol lipase阻害薬)(5)2.5mM S-145(トロンボキサンA2受容体遮断薬)をマイクロダイアリシスプローブを介してNMDAと同時に投与することによっていずれの場合も抑制されたが、(6)25μM U-73343(U-73122の不活性体)によっては抑制されなかった(投稿準備中)。 2.そこでさらにα1アドレノセプター刺激薬フェニレフリン(0.3,1mM)あるいはPLCの刺激薬m3M3FBS(0.1mM)を室傍核にダイアリシスプローブ介して直接投与したところ、室傍核のノルアドレナリン(NA)遊離および血中カテコールアミンがいずれも増加したが、0.1mM03M3FBS(m3M3FBSの不活性体)投与は影響しなかった(日本薬理学会、2009年3月)。 3.ごく最近Felderらが、麻酔ラットの室傍核にフェニレフリンを微量注入すると、心拍数および腎交感神経活動を増加させると報告した(2008)。従って今回得られた実験成績(1および2)は、高血圧症などストレスに起因する生活習慣病の病態生理解明に新たな視点を提供しうるという点で意義があり、これら疾患に対する新たな治療薬開発のための標的を考案する上で重要性が高いと考えられる。
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