研究課題
てんかん性病態の進行では、興奮系-抑制系間の機能変化としての均衡障害とともに、過酸化障害を主体とした形態変化としての組織障害が生じてくる。この組織障害は、レドックス均衡の崩壊に起因する。レドックス均衡とは活性酸素種やラジカルなどの酸化物質による酸化力とアスコルビン酸・α-トコフェロール・グルタチオン・NADPHなどの抗酸化物質による還元力の均衡バランスである。このレドックス均衡は、興奮系-抑制系間の機能的均衡を修飾する重要なシナプス環境である。近年の電子スピン共鳴装置と脳血液関門を通過し得る新規スピンプローブ剤の開発により、てんかん研究においても無麻酔・自由行動条件下において脳実質のレドックス均衡に関する情報が得られるようになった。その結果、てんかん性病態ではレドックスが酸化状態に崩壊していることが示された。グルタミン酸トランスポーターEAATsはシステインをその構造内にもち、レドックス変化に対する感受性を有している。酸化的レドックス状態では、EAATsによるグルタミン酸再取り込み機能が減弱する。EAATs発現の減少に加え酸化的レドックス状態での再取り込み機能の減弱を考え合わせると、てんかんにおける細胞外グルタミン酸濃度調節機能は、著しく減弱していると判断される。この機能減弱によりてんかん性病態におけるグルタミン酸の神経興奮毒性は著しく増強され、その結果、てんかん性病態におけるグルタミン酸の神経興奮毒性は著しく増強され、てんかんにおける海馬組織障害に関連してくると考察された。
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Neurochem Res. On-linepublished
ページ: 1324-1331
Brain Res 1266
ページ: 1-7
Brain Res. 1228, 1-5. 1228
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