研究課題/領域番号 |
20591372
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
植田 勇人 宮崎大学, 医学部, 准教授 (70244192)
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研究分担者 |
土井 拓 宮崎大学, 医学部, 助教 (70274793)
中島 暉 宮崎大学, 医学部, 教授 (10041857)
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キーワード | てんかん / グルタミン酸 / GABA / トランスポーター / レドックス抑制 / チオレドキシン |
研究概要 |
レドックスは、生体内で発生する活性酸素種やフリーラジカルなどの酸化ストレスと、アスコルビン酸・トコフェロール・グルタチオンなどによる抗酸化能力との均衡バランスで規定されるシナプス環境である。酸化ストレスはこのレドックス状態に影響を及ぼし様々な神経疾患発症に関与している。代表的な神経疾患であるてんかんは、約0.76%の有病率をもつ疾患であり、その病態解明は悲願である。てんかん性病態の基本的な病態特徴は興奮系シナプス伝達効率が増強され、かつその効果が長期に持続されていることである。とくに海馬においてその電気生理学的所見は顕著に観察される。この海馬興奮系シナプス伝達効率にはグルタミン酸トランスポーターや初期転写因子AP-1やアポトーシス関連蛋白NFkB, ASKなど細胞内シグナル伝達分子ファミリーが関与している。興味深いことに、これら分子群の構成アミノ酸の特徴として、いずれもシステイン残基を有したレドックス感受性を有していることが共通点として挙げられる。故にてんかん性病態における酸化ストレスの履歴やレドックス変化はこれらの分子ファミリーの機能を修飾し、海馬興奮系の長期維持や海馬組織変性に大きな影響力をもつ。従来、申請者はグルタミン酸受容体の活性化とその下流での細胞外レドックス状態の解析を行い、てんかんモデルの海馬レドックス状態は顕著な酸化状態へ崩壊していることをin vivoで明らかにしてきた。これら従来の研究成果を発展させるために、細胞外のみならず細胞内レドックス感受性分子の解析を付加して、海馬興奮系の長期維持機構の解明に取り組む必要性がある。そこでキンドリングモデルでてんかん性病態が固定される過程の中で、細胞内・外レドックス感受性分子ファミリーの関与を明らかにし、かつ海馬興奮系シナプス伝達の増強・維持メカニズムを解明することが本申請の研究目的と全体構想として研究を進める。
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