研究概要 |
胎生期にPoly I:Cを処置することで統合失調症モデルラットを作成した。モデルラット群は,新奇物体探索試験における記憶・認知機能,社会相互作用試験における社会コミュニケーションの各機能に異常を示した。これに対し,モデル動物に神経幹細胞を経静脈的に移植した群では,その異常が正常対象群に近いレベルへ改善されることが分かった。また,モデルラットに移植した標識神経幹細胞は,1ヶ月~6ヶ月以上の期間,前部帯状回,海馬,扁桃体を含む脳の諸領域に分布,生存し,移植3ヶ月の脳内では,海馬,および扁桃体でGAD陽性の細胞(GABAergic neuron)に分化・成熟していることを観察した。加えて,抗精神病薬のオランザピンを併用処置することで,移植細胞がより高率で脳に移行,生存する可能性が示唆された。
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