• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

統合失調症患者に長期併用投与された抗コリン薬の減量中止に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20591379
研究機関聖マリアンナ医科大学

研究代表者

宮本 聖也  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (00288200)

キーワード統合失調症 / 第2世代抗精神病薬 / 抗コリン薬 / 認知機能障害 / Quality of life / 離脱症状 / 錐体外路症状 / 学習効果
研究概要

統合失調症の薬物治療の主流は錐体外路症状を発現しにくい第2世代抗精神病薬(SGA)である。本邦ではSGAの登場後も、抗コリン薬の併用率が欧米と比較して極めて高い。そのため本邦の患者の多くは、疾患本来の認知機能障害に加えて、薬原性の認知機能障害が加わりQuality of Life(QOL)が低下している可能性がある。本研究では、SGAに長期併用された抗コリン薬を前向きに減量中止し、認知機能やQOLに及ぼす影響を検討した。対象は、SGAの単剤治療を受け、抗コリン薬を3ヶ月以上継続して併用中の統合失調症患者である。抗コリン薬は、SGAの用量を固定したままbiperiden換算で1mg/2~4週の速度で減量した。臨床評価は簡易統合失調症認知機能評価尺度日本語版(BACS-J)、統合失調症の生活の質評価尺度日本語版(SQLS-J)、PANSS、CGI-S、DIEPSSを用い、試験開始時と抗コリン薬減量中止から4週後の計2回実施した。平成21年度は、計27例がエントリーし、26例は重篤な離脱症状の出現もなく抗コリン薬の減量中止が可能であり、BACS-Jの注意と情報処理速度、言語流暢性、遂行機能、総合得点の有意な改善を認めた。また、SQLS-Jの心理社会関係、PANSSの総合精神病理得点およびCGI-Sも有意に改善し、DIEPSS得点は有意な変化を認めなかった。さらに、抗コリン薬の減量中止を行わない患者対照群にBACS-Jを2回施行し、学習効果の影響について検討した結果、注意と情報処理速度と総合得点の改善度は学習効果を上まわった。以上より、SGAに長期併用された抗コリン薬は、緩徐に減量中止すると、精神症状の悪化や著明な有害事象を認めずに一部の認知機能やQOLが改善する可能性が示唆された。本研究により、抗コリン薬の安全な減量法とその臨床的意義に関する新しいエビデンスを提供できると考える。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 統合失調症の認知増強薬:最近の話題2009

    • 著者名/発表者名
      天神朋美, 他3名
    • 雑誌名

      精神科 14

      ページ: 525-529

  • [学会発表] 第2世代抗精神病薬に長期併用投与された抗コリン薬の減量中止が統合失調症患者の認知機能および主観的Quality of Lifeに及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      荻野信、宮本聖也、他
    • 学会等名
      第5回日本統合失調症学会
    • 発表場所
      九州大学医学部百年講堂(福岡県)
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] 第2世代抗精神病薬に長期併用投与された抗コリン薬の減量中止が統合失調症患者の認知機能およびQuality of Lifeに及ぼす影響2009

    • 著者名/発表者名
      荻野信、宮本聖也、他
    • 学会等名
      第19回日本臨床精神神経薬理学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府)
    • 年月日
      2009-11-14

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi