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2009 年度 実績報告書

カルボニルストレス関連分子の統合失調症病態における生理学的意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20591383
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

新井 誠  (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 主席研究員 (80356253)

キーワード統合失調症 / 遺伝子変異 / ストレス / ゲノム / 遺伝子 / 脳・神経
研究概要

統合失調症は、気分障害と並ぶ精神科を代表する二大精神疾患である。生涯罹患率が1%と高く、高血圧、糖尿病などと同様に「ありふれた病気(common disease)」と呼ばれる。厚生労働省による平成20年患者調査によれば、傷病分類別の入院患者数で実に22%が精神及び行動の障害に該当する。したがって、統合失調症の早期診断に役立つ生物学的指標の同定、原因解明と有効な治療法・予防法の開発は、精神科医療における最も優先されるべき課題である。
生体内においてAdvanced glycation end products(AGEs)が蓄積する状態は「カルボニルストレス」と提唱されている。これまでにペントシジンやカルボキシメチルリジンなど多くのAGEs構造体が同定されており、その生成過程や各種疾患における体内動態とその生理的意義が内科系疾患を中心に研究がなされている。本研究で我々は、一部の統合失調症患者がカルボニルストレスを呈することを初めて明らかにした。45名の統合失調症の血漿成分中のAGEsを定量した結果、21例(46.7%)においてAGEs上昇が認められた。統合失調症患者のAGEs値(平均値:68.4ng/ml)は、健常者(平均値:39.6ng/ml)の約1.7倍にまで達していた。特に、AGEsレベルが130ng/ml以上と顕著な上昇を示した統合失調症3例は、いずれもが重篤な精神症状を呈し、10~33年にわたり長期入院している治療抵抗性の症例であった。また、これらカルボニルストレス性統合失調症患者の多くからGLO1遺伝子変異が同定されたことから、GLO1の遺伝的機能的低下がカルボニルストレスに寄与することが示唆された。したがって、GLO1遺伝子変異を有する先天性のカルボニルストレス性統合失調症患者は、生化学的所見や遺伝子型による診断が行えると考えられ、抗カルボニルストレス薬剤等は、カルボニルストレス性統合失調症の病態に根ざした治療薬となりうる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2010 2009 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Brain Cannabinoid CB2 Receptor in Schizophrenia2009

    • 著者名/発表者名
      Ishiguro, et al.
    • 雑誌名

      Biol Psychiatry (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of SMARCA2/BRM in the SWI/SNF chromatin-remodeling complex in schizophrenia2009

    • 著者名/発表者名
      Koga, et al.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet. 18巻

      ページ: 2483-2494

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preliminary genome-wide association study of bipolar disorder in the Japanese population2009

    • 著者名/発表者名
      Hattori, et al.
    • 雑誌名

      Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet. 150B巻

      ページ: 1110-1117

    • 査読あり
  • [学会発表] 統合失調症の病態におけるカルボニルストレス代謝制御に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      新井, ら
    • 学会等名
      第5回 日本統合失調症学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2010-03-26
  • [学会発表] 大きな遺伝子効果を利用した統合失調症の病因研究2009

    • 著者名/発表者名
      新井誠, ら
    • 学会等名
      平成21年度文部科学省特定領域研究「統合脳」第5領域班会議
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-12-19
  • [学会発表] 稀な遺伝子変異症例の分子基盤に基づく統合失調症の診断・治療法の開発2009

    • 著者名/発表者名
      新井, ら
    • 学会等名
      第42回 精神神経系薬物治療研究報告会
    • 発表場所
      豊中
    • 年月日
      2009-12-04
  • [学会発表] カルボニルストレス性統合失調症の病態に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      新井, ら
    • 学会等名
      第19回 日本メイラード学会学術集会
    • 発表場所
      金沢
    • 年月日
      2009-11-20
  • [学会発表] カルボニルストレス性統合失調症の病態に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      新井, ら
    • 学会等名
      第82回 日本生化学会大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-10-24
  • [学会発表] カルボニルストレス性統合失調症の病態に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      新井, ら
    • 学会等名
      第31回 日本生物学的精神医学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2009-04-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.prit.go.jp/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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