研究課題/領域番号 |
20591385
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久住 一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30250426)
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研究分担者 |
鈴木 克治 北海道大学, 病院, 助教 (70344512)
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キーワード | 単極性うつ病 / 認知行動療法 / 作業療法 / 復職支援プログラム / 認知機能検査 / Wisconsin Card Sorting Test (WCST) / Auditory Verbal Learning Test(AVLT) |
研究概要 |
休職中の単極性うつ病患者22例を対象に、集団認知行動療法と作業療法を組み合わせた12週間の復職支援プログラムを実行し、その前後で認知機能検査を行い、それらがうつ病の回復の指標もしくは復職準備性の客観的指標となりうるかどうかを検討した。認知機能検査は、実行機能としてWisconsin Card Sorting Test(WCST)、言語流暢性としてWord Fluenct Test(WFT)、視覚処理および運動速度・実行機能としてTrail Making Test(TMT)、反応抑制および選択的注意としてStroop Test、注意保持および運動速度としてContinuous Performance Test(CPT)、近時・即時短期記憶としてAuditory Verbal Learning Test(AVLT)を施行した。対象者のプログラム開始前におけるハミルトン抑うつ評価尺度は平均5.5±3.3(SD)点であり、抑うつ症状はおおむね寛解レベルであったにもかかわらず、上記検査のほぼ全ての項目において、健常者に比較して-1〜-2SDの得点低下が確認された。一方、プログラム終了後には、これらほぼ全ての項目で認知機能得点の改善がみられ、特にWCSTの保続的誤答数(p=0.038)、AVLTの言語再生数のうち即時記憶(p=0.021)および短期記憶(p=0.022)においては統計的に有意な改善が認められた。また、プログラム終了時における認知機能評価が-1.5SD以下の項目数が多いほど、その後の復職転帰が不良である傾向が認められた。これらの所見は、認知機能の測定が適切な復職可能性を判断するための極めて有用なツールである可能性を示唆している。
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