研究課題/領域番号 |
20591386
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
傳田 健三 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (10227548)
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研究分担者 |
井上 猛 北海道大学, 大学病院, 講師 (70250438)
北川 信樹 北海道大学, 大学病院, 助教 (80312362)
賀古 勇輝 北海道大学, 大学病院, 助教 (70374444)
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キーワード | 児童期 / 青年期 / 大うつ病性障害 / 注意欠陥多動性障害 / 不安障害 / 広汎性発達障害 / 併存障害 / 気分障害 |
研究概要 |
平成21年度は、児童・青年期の気分障害の中で双極性障害について検討を行った。2001年1月から2005年12月までの5年間に北海道大学病院精神科神経科を初診した全患者6357人のうち、18歳未満の症例は440例(6.9%)であった。この中で初診時にDSM-IV診断により気分障害と診断された患者は91人(18歳未満の20.7%)であった。このうち初診時の診断が大うつ病性障害であり、当科にて全経過を観察しえた症例は71例であり、これらを今回の検討の対象とした。 71例の大うつ病性障害患者の経過を追っていくうちに、8例(11.2%)が躁転し双極性障害へ診断が変更となった。この8例のうち、緩徐な経過での躁転をきたしたものが5例であり、抗うつ薬(SSRI/SNRI)投与直後に急激な躁状態および混合状態を呈したものが3例であった。投与直後に急激な躁状態および混合状態を呈した3例は、いわゆるactivation syndromeと考えられた。 その臨床像はこれまで認識されていた成人における躁うつ病像、すなわち躁病相とうつ病相の明らかな対比、その明瞭な交代と月単位の周期、各病相に特徴的な臨床症状などの古典的な病像とは大きく異なり、子ども特有の臨床像を呈していた。すなわちその病像は、(1)うつ症状と躁症状のきわめて急速な交代、(2)うつ病相と躁病相が明瞭に区別しにくく、双方の症状が混在する多彩な病態、(3)他の精神障害、とくにADHD、反抗挑戦性障害、素行障害などと併存しやすいこと、の3点が特徴であった。双極性障害8例中、4例に破壊的行動障害、注意欠陥多動性障害ADHD、広汎性発達障害が併存していた。双極性障害と発達障害の密接な関係が示唆された。
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