研究課題/領域番号 |
20591386
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
傳田 健三 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (10227548)
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研究分担者 |
井上 猛 北海道大学, 病院, 講師 (70250438)
北川 信樹 北海道大学, 病院, 助教 (80312362)
賀古 勇輝 北海道大学, 病院, 助教 (70374444)
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キーワード | 児童期 / 青年期 / 大うつ病性障害 / 注意欠陥多動性障害 / 双極性障害 / 広汎性発達障害 / 併存障害 / 気分障害 |
研究概要 |
平成22年度は、児童・青年期の双極性障害の臨床的特徴について検討を行った。北海道大学病院精神科神経科および楡の会子どもクリニックに、現在通院中のDSM-IV-TRの診断基準を満たした児童・青年期の双極性障害38名(8-17歳)の臨床的特徴を検討した。38名は21名の男子と17名の女子であり、平均年齢は13.4±3.2歳であった。診断分類は、双極I型障害(BP-I)が12名(31.6%)、双極II型障害(BP-II)が4名(10.5%)で、残りの22名(57.9%)が特定不能の双極性障害(BP-NOS)であった。BP-I,BP-II,BP-NOSの3群において、発症年齢、疾患の持続期間、comorbidityの有無・種類について有意な差ななかった。Comorbidityは26名(68%)に注意欠陥多動性障害(ADHD)が、24名(63%)に広汎性発達障害が、15名(39%)に不安障害(強迫性障害7名、社会不安障害5名、パニック障害3名)が併存した。BP-NOS群は躁状態あるいは混合状態の持続期間が基準を満たさないためBP-Iの診断にはならなかった。BP-NOS群は次の2型に分類することができた。(1)BP-NOS-1:急速交代型あるいは混合状態を呈し、かつ高揚気分または誇大性を有する症例(13例)。(2)BP-NOS-2:非エピソード性の重度の易刺激性、イライラ感を呈する症例(9例)の2型である。遺伝歴については、BP-Iは33%、BP-NOS-1は31%、BP-NOS-2は5%であった。BP-NOS-1はGellerらが提唱する子どもの双極性障害であり、BP-1へ連続する一つのフェノタイプと考えることが可能であった。BP-NOS-2はBiedermanらが提唱する双極性障害であり、Leibenluftらが提唱するSMD(Severe Mood Dysregulation)と近似する病態であると考えられた。
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