研究課題
本研究は、近赤外線スペクトロスコピーを用いて、自閉症スペクトラム障害の前頭葉機能の経年変化パタンを明らかにし、生物学的異種性マーカーの検索を行うことを目的としている。20年度は、国際的な研究において標準的に用いられている自閉症の診断面接法(Autism Diagnostic Interview;ADI-R)を使用可能にするため、資格を得るためのトレーニングを海外で受講し、資格試験に合格した。これにより、国際的な診断方法を用いて、自閉症スペクトラム障害患者の症状評価を行なうことが可能になった。これまで国内にはADI-Rを研究で使用できる研究者がほとんどおらず、国際的に研究成果を報告する際の障壁となっていため、診断ツールの使用資格取得は今後の成果を国際的に発表していく上で重要なものになると考えられる。さらに、自閉症スペクトラム障害群との比較を行うため、定型発達児を新聞広告および東京大学医学部附属病院精神神経科とこころの発達診療部のホームページで募集し、研究対象者としての基準を満たした定型発達児童に対し、近赤外線スペクトロスコピーを用いた前頭葉機能の脳血流計測と神経心理検査による認知機能め評価が行なわれた。その結果、定型発達群では、左右両半球において酸素化ヘモグロビン(Hb)変化量と年齢間に有意な正の相関が示され、年齢が上がるにつれて、認知課題に伴い前頭前野の活性化が高まる事が明らかになった。一方、脱酸素化恥変化量と年齢間、および酸素化Hb変化量と課題遂行成績や知的水準との間には関連が見られないことが明らかになった。これらの結果は、自閉症スペクトラム障害の前頭葉機能の成熟プロセスを検討する際の基礎的データを提供するものと考えられる。
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