研究課題/領域番号 |
20591393
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (40236013)
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研究分担者 |
川崎 康弘 富山大学, 大学病院, 講師 (80242519)
住吉 太幹 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (80286062)
中村 主計 富山大学, 大学病院, 助教 (00447658)
倉知 正佳 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 教授 (80019603)
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キーワード | 統合失調症 / ミラーニューロンシステム / 拡散テンソル画像 / fractional anisotropy / 陰性症状 |
研究概要 |
平成20年度は統合失調症におけるミラーニューロンシステムの構造変化について、MRI拡散テンソル画像(Diffsion Tensor Imaging, DTI)の全脳におけるボクセル単位解析により探索的に検討を行った。 書面による同意が得られた統合失調症患者60例(男性40例、女性20例)と健常対照者60例(男性40例、女性20例)を対象とした。1.5TのMRIスキャナによりDTIを撮像し、作成したFractional Anisotorpy (FA) mapを用いて、SPM2により全脳のFA値について両群間で比較した。また統合失調症患者群のFA値と臨床症状との相関を検討した。健常対照者群と比較して、統合失調症患者群では、右視床、左上縦束、右上縦束、左鈎状束、脳梁膝、右下縦束/下後頭前頭束のFA値の有意な低下を認めた。臨床症状については、思考の貧困、意欲・発動性の欠如の得点と脳梁膝部のFAの間に負の相関を認めた。本研究により、統合失調症患者では複数の神経線維束においてFA値の低下が認められることが明らかとなった。また陰性症状の成立に、左右の前頭葉を連結する白質線維束の異常が関与することが示唆された。 DTIにより、脳部位間を連絡する白質線維の統合性を評価することができる。それは、統合失調症における機能的神経ネットワークの変化に関して、貴重な情報をもたらすと考えられる。上記の検討により、統合失調症患者の脳における白質線維の統合性変化の概要が明らかになった。
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