研究概要 |
MRIを用いたDiffusion Tensor Imaging(DTI)によって、神経の回路網を非侵襲的に画像化するために、パラメーターを最適化するための検討を行っている。まずは、臨床上で多数のデータ収集が可能な6軸撮像を行い、5人の健常被験者でデータ収集を行った。さらに最近では36軸を用いて詳細な情報を得ることが推奨されているため、撮像時間に15分を要するものの、1名の健常人と患者において36軸を用いて試験的に施行した。これらのデータから、fiber tracking imageを行い、実際にtrackingが可能であることを確認した。36軸のDTIで得られるFractional Anisotropy (FA) mapは白質神経線維の異方性拡散を表す正確な指標となり、白質の質的な評価をより詳細に行うことが可能になる。今後はこの最適化されたパラメーターでサンプルを十分に集めることが重要である。MRIによる体積評価においては、Voxel-Based-Morphometry最適化法を用いてMNI標準脳に合わせられたMRIのデータをボクセル単位で統計的に評価している。具体的にはT1強調画像を撮像し、自閉症患者においてデータを5人分収集した。核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)は3TのMRIをもちいてPRESS sequenceを用い,撮像パラメーターはTE=35ms, TR=2000msに設定し64回の積算を行う予定であった。しかし撮像時間が長時間におよぶため、被験者にかかる負担が予想を超えて大きいため、患者においてデータはまだ得られていない。より短時間に行える手法(MRSI)をもちいて、分析ができないか現在検討中である。 Autism Diagnostic Interview-RevisedおよびAutism Diagnostic Observation Scheduleなどの標準化された臨床症状評価尺度をスケールする体制を整え、実施している。また認知機能についてはCANTABを購入し、作動記憶などのより詳細な機能を測定する体制を整えた。 来年度以降、現在整えた体制で、画像情報と臨床症状の関連を調べるために被験者数を増やしていく必要がある。
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