研究概要 |
Diffusion Tensor Imaging(DTI)によって、神経の回路網を非侵襲的に画像化するため最適なパラメーターを決定した。36軸を用いた詳細な画像情報で、広汎性発達障害者20名、双極性感情障害患者24名、気分障害と広汎性発達障害の合併患者4名、健常コントロール18名を対象にしたMRI撮像を終了した。DTIによるfractional anisotropy(FA)値は拡散の方向性を定量できる最もすぐれた指標とされる。このFA値について、FSLというソフトウェアでTract-Based Spatial Statisticsを用いた解析と、LondonのInstitute of Psychiatry,が開発したXBAMというソフトを用いた解析を施行した。その結果XBAMによる解析で、疾患ごとの特徴を描出することができた。広汎性発達障害の患者においては、脳梁においてFA値が低下していた。そして双極性感情障害患者群においては、Inferior longitudinal fasciculusおよびMiddle cerebelar peduncleのFA値が有意に高値を示し、そして両疾患の合併例においては、Superior longitudinal fasciculusにおいてFA値が有意に低下していた。MRSの施行については、撮像時間が長く、被験者への負担が大きいことから、解析可能なサンプル数には至らなかった。今回の研究で、広汎性発達障害の大脳皮質のネットワーク障害を形態学的に表すことができた。さらに今回は気分障害圏のデータを収集したことで、精神疾患のなかでの特異性を確認することができた。
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