研究課題
自閉症の特徴の一つである「対人的相互作用の障害」は共感性の障害に基づくと考えられている。本研究では、自閉症の共感性の障害の神経基盤を探る目的で、機能的磁気共鳴画像(fMRI)により共感が惹起された時の前帯状回の活動を計測し、自閉症での異常が指摘されているセロトニン・トランスポーター関連遺伝子の多型との関連を検討する。平成20年度は、以下のように研究を進めた。1. 対象の選定本研究の目的・方法、研究の危険性について十分に説明し、書面による同意を得られた者のみを対象者とした。なお、以下の条件を満たさない者は除外した。(1)年齢が18〜25歳である、(2)薬物療法を受けたことがないか、研究開始前の6ヶ月間以上にわたって薬物療法を受けていない、(3)神経疾患の罹患・既往歴がない、(4)右利きである。さらに、WAIS-Rにより知能指数(IQ)を測定し、IQが85未満の者も除外した。自閉症の診断は、標準的診断法(ADI-R)によった。今年度目標としていた自閉症者と健常対照者、各5名の選定を完了した。2. 精神症状の評価自閉症者の精神症状を、faux par testとdavis interpersonal reactivity indexとの二つのスケールを用いて評価した。3. 遺伝子解析セロトニン・トランスポーターの遺伝子多型の解析のために、全ての対象者より全血7mlを採取し、リンパ球を分離し、DNAを抽出した。平成21年度は、これら対象者のMRI計測を順次行う予定である。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
J Autism Dev Disord. 38(10)
ページ: 1998-1999
Br J Psychiatry. 194(4)
ページ: 338-339
Br J Psychiatry. 193(4)
ページ: 316-321