研究課題/領域番号 |
20591402
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩瀬 真生 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60362711)
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研究分担者 |
石井 良平 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40372619)
高橋 秀俊 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40423222)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
橋本 亮太 大阪大学, 医学系研究科, 特任准教授(常勤) (10370983)
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キーワード | 磁気刺激 / 近赤外分光法 / 遺伝子解析 / 精神生理学 / 非薬物療法 |
研究概要 |
平成20年度は、統合失調症群60名と健常者群60名に対して、5種類の前頭葉機能課題を施行中に近赤外分光法による前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度変化を測定し、統合失調症と健常者と判別可能かどうか判別分析をおこなった。統合失調症群、健常者群とも30名ずつの2つの群に分け、第1群において最も正判別率が高くなる判別関数を計算し、その判別関数を第2群に適用する手法を用いた。課題成績のみ、酸素化ヘモグロビン濃度変化のみを従属変数とした場合、第1群では80%近い正判別率が得られたが、第2群において正判別率は65%前後となり、第1群での結果は再現できなかった。課題成績と酸素化ヘモグロビン濃度変化の両者を従属変数とした場合、第1群では88%、第2群では75%の正判別率を得た。その際、判別に有用な変数は、言語流暢性課題成績(文字バージョン、カテゴリーバージョン)、ハノイの塔課題成績、言語流暢性課題文字バージョンの酸素化ヘモグロビン濃度変化の4つであった。このことは統合失調症と健常者の判別には認知課題成績と近赤外分光法による血流変化の両者を考慮に入れた方がより再現性の高い結果が得られることを示唆している。この結果はSchizophrenia Research誌(2008年インパクトファクター値:4.174)に受理され、すでに出版されている。 また難治性大うつ病性障害患者2名に対し、1名では右前頭前野に1Hzの、もう1名では左前頭前野に10Hzの経頭蓋反復磁気刺激を行った。近赤外分光法を用いた同時測定により当該部位で酸素化ヘモグロビン濃度が上昇することが示され、経頭蓋反復磁気刺激による大脳皮質内での血流変化が測定できることを確認した。これは近赤外分光法により磁気刺激治療の効果判定に応用可能であることを示唆する結果である。
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