研究課題
本研究は、レトロウィルスを用いて成体サル脳で神経幹細胞特異的に細胞毒性遺伝子を発現させ、神経幹細胞を選択的に障害することによって、ほ乳動物の成体脳で見られる神経新生の担う役割を解明することを目的としている。平成20年度では、まず、神経幹細胞特異的に遺伝子を導入するためのレトロウィルスベクターの構築を行なった。本研究では、細胞毒性を賦与するHerpes simplex virus type 1 thymidine kinese(HSV1-tk)遺伝子に点変異を持たせ活性を高めたHSV1-sr39tkを作製するとともに、それをサル神経幹細胞特異的に賦活されるPromninlプロモーターの下流に組込みレトロウィルスベクターを構築した。次に、それよりレトロウィルス粒子を調製し、それを感染させることで、ウィルス感染神経幹細胞がganciclovirの存在下に選択的に障害されるウィルス遺伝子発現系を創製した。ここで本研究では、カニクイザル脳で特異的に活性を持つPromininlプロモーターのsplicing variantを、カニクイザルのBAC libraryより新規にクローニングし、その下流にEGFP遺伝子を組込んだ発現ベクターを作製することで、分担研究者により以前樹立されたヒト神経幹細胞株においてEGFPが発現し、また当該細胞株がニューロン及びグリアへ分化することにより、そのプロモーター活性が失活することを確認した。本研究において作製されたウィルス発現系は、神経幹細胞特異的にin vivoで種々の遺伝子を発現するための有用な手段となると考えられる。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
PLoS ONE 3
ページ: e3648
ページ: e2283
J Neurosci 28
ページ: 5756-5761