研究課題/領域番号 |
20591412
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中根 秀之 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90274795)
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研究分担者 |
小澤 寛樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50260766)
木下 裕久 長崎大学, 大学病院, 講師 (10380883)
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キーワード | 精神神経科学 / 社会精神医学 / プライマリケア |
研究概要 |
本研究では、総合病院一般診療科を受診する患者を対象に、以下の3点について検討する。 【1】プライマリ・ケア医を受診者の中に、どのくらいの精神障害を抱えた者がいるか。 【2】プライマリ・ケア医はどのくらいの割合で精神障害の診断を行なえているか。 【3】プライマリ・ケア医の精神障害の知識、診断、治療に対する態度の評価。 2.研究の進捗状況 (1)1992年までに行った調査の再検討と、調査実施に向けての実施計画の作成。および個人情報の管理を含めた倫理的問題などの検討:昨年度は、先行研究についてレビューを行い、CIDIによれば、総合病院の内科を受診する患者の14.8%の何らかの精神障害を認め、さらにこの精神障害の診断と内科医の診断の一致率は、わずか18.3%に過ぎないことが明らかとなった。来年度の日本でのデータの蓄積に向けて、手法の見直しと実施計画の策定を行った。 (2)プライマリ・ケア医の精神障害の診断に対する態度の評価:わが国のPrimary Careにあたる医師にとって有用な精神障害の診断システムの活用のために必要なものを探る目的で、アンケートを修正し、より広い地域の医療職を対象にアンケート調査を行った。対象は、東京、宮崎、長崎の内科医会会員である。内容は、ICD-10-PCで扱われている精神障害に加え、一般診療で遭遇する可能性の高い精神障害、状態像に対する診断と医療への態度を尋ねるものであった。方法は、これらアンケート調査票を郵送により配布し、FAXにて回収を行った。配布を行った全2094人中、222人を解析の対象とした(回収率:10.6%)。この結果、内科医は、精神医学的診断の際に、59%が伝統的・経験的診断を用いており、ICDは9%、DSMも10%程度で、ほとんど使用されていないことが明らかとなった。また、精神障害の診断システムについて、プライマリケア用に修正されたものが67%と最も多かった。ICD-10-PCで扱われる25の精神障害や一般診療で遭遇する可能性の高い精神障害、状態像に対する診断と医療への態度については、内科医は精神障害の多くについて知識は持ち合わせていることが明らかとなったが、暫定診断、初期治療については、各疾患で大きく異なっていた。
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