研究課題/領域番号 |
20591416
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
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研究分担者 |
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80324763)
辻 富基美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10347586)
小瀬 朝海 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405425)
上山 栄子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40405444)
山本 眞弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80423937)
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キーワード | 反復経頭蓋磁気刺激 / 脳血流シンチグラム / MRI画像 / うつ病 / 気分障害 |
研究概要 |
単極性うつ病2名に反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療を行いうつ病評価尺度(MADRS)で改善率36%、50%(25点から16点、16点から8点)が得られ、抗うつ効果は5ヶ月以上継続した。認知機能についてはWechsler Memory Scale-Revisedの各項目の改善(症例1:3.7%〜41.6%、症例2:5.1%〜34.3%)がみられた。有害事象は症例2に軽度頭痛のみであった。脳血流SPECT定量解析(fineSRT解析)では、前部帯状回の低下(症例1:5.8%(左),5.7%(右)症例2:11.6%(左),10%(右))、前頭前野の軽度増加(症例1:3.4%(左),3.9%(右)症例2:0.4%(左),-0.6%(右))が得られた。神経生理検査としてpaired pulse TMSを症例2に行い、皮質内抑制が著明に回復した。 この意義は、第一にrTMSよる単極性うっ病の抑うつ症状および認知機能への有効性を確認できたことである。第二に脳血流からみたrTMSの抗うつ作用に強く関連した脳領域(前頭前野、前部帯状回)を確かめたことである。生理機能の変化から、rTMSが作用する神経系にGABA系神経が重要な機能を持っている可能性がある。これらの結果より、抑うつ患者における抗うつ効果に前頭前野と前部帯状回が主要に関与している一つの根拠が得られた。同時にうつ病のGABA神経仮説を支持する根拠も得られ、この疾患の神経ネットワークの障害を明らかにする一助となる。 今後の課題の第一は、単極性うつ病および双極性うつ病ともになお研究対象症例を増やす必要ある。次に検査としてdiffusion tensor MRI解析の実施、生理検査の充実が課題である。研究方法について、シャム刺激が未施行であるため抗うつ効果の有効性の確認のため行う必要がある。
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