研究課題/領域番号 |
20591416
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
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研究分担者 |
鵜飼 聡 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80324763)
辻 富基美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10347586)
小瀬 朝海 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405425)
上山 栄子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40405444)
山本 眞弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80423937)
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キーワード | 反復経頭蓋磁気刺激 / 脳血流シンチグラム / MRI画像 / うつ病 / 気分障害 |
研究概要 |
H22年度は、臨床研究として薬物抵抗性の単極性うつ病3名に左前頭前野部に対する高頻度による反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療行った臨床試験の総括および発表、基礎研究としてラットに対し14日間連日のrTMSにより海馬歯状回顆粒細胞層、下顆粒細胞層での神経新生を証明する実験結果の投稿を行った。臨床症例の結果はうつ病評価尺度(MADRS)で改善率が2例が43%、64%と高く、1例が0%と低かった。それらの脳血流SPECT定量解析(fineSRT解析)では改善率が高い2例では前部帯状回の低下、前頭前野の軽度増加はみられたが、低い例ではその変化はみられなかった。神経生理検査としてpaired pulse TMSを行った1例では、rTMS前後で皮質内抑制の変化はなかった。基礎研究の結果は、rTMSにより海馬歯状回顆粒細胞層、下顆粒細胞層における単位面積あたりのBrdU陽性細胞の有意な増加を認めた。これはrTMSによるラット海馬歯状回でのsubgranular progenitor cellsの増加を証明した。 臨床試験の結果は脳血流からみたrTMSの抗うつ作用に強く関連した脳領域(前頭前野、前部帯状回)を確かめたが、うつ症状の改善がない場合は、脳血流の変化もなかった。この意義は、うつ病患者における抗うつ効果に前頭前野と前部帯状回が関与している傍証となる可能性があり、この疾患の神経ネットワークの障害を明らかにする一助となる。 基礎研究の意義は、rTMSによる海馬神経細胞新生を検討したこれまでの報告ではその増加は示されておらず、本研究はrTMSによる増加を実証した初めての報告であり、rTMSの抗うつ効果の機序の解明に寄与する。
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