研究概要 |
本研究は認知症を対象にその疾患別の長期予後、特に生命予後の相違を調べるとともに、長期予後に影響を与える因子を明らかにすることを目的とする。我々は、1998年に新潟県糸魚川市において、65歳以上の在宅高齢者7,847人を対象に健康調査を実施した。本研究課題においては、1998年の調査で認知症として抽出された406人について追跡調査を行い、認知症の重症度、精神症状・問題行動、日常生活動作能力、身体合併症、介護状況、医学的・社会的援助等および社会統計学的因子の検索を行い、長期予後との関連性を検索する。認知症に対する早期発見・早期介入の重要性が唱えられ、近年の早期認知症に対する治療戦略は従来と大きく異なってきている。しかし一方で、すでに認知症になってしまったケースに対する介入は従来と大きな変化はみられていない。本研究により認知症の予後に与える因子が明らかになれば、より効果的な介護・治療的介入が可能となり、患者自身のQOLを改善するのみならず介護負担も軽減することが可能となるだろう。 本研究では、平成10年度に新潟県糸魚川市において65歳以上の在宅高齢者7,487人を対象とした健康調査を実施した際に、認知症として診断を受けた406人を追跡調査の対象とする。平成20年度は、まず対象者とその家族に対し、本研究の目的、方法、意義、及び対象者への人権保護への配慮(守秘義務等)について充分に説明した文書と協力への依頼状と調査票を作成している。また、糸魚川市役所との打ち合わせを行い、来年度の訪問調査の計画などを行った。
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