児童・思春期にある子ども(以下子ども)の約5から8%にうつ病がみられ、年齢が高くなるにつれて頻度が増加すると報告されている。一方で、子どものうつ病に関する適切なバイオマーカーが存在せず、子どものうつ病の診断・治療のためにバイオマーカーが強く求められているとしい。特に、脳の機能的あるいは構造上の変化とうつ病の症候や生化学的な因子との関連を研究はじゅうようである。DSM-IV-TRに基づき大うつ病と診断された患者10名と、性別および年齢で合致する非うつ病群12名を対象にしてMRIによる脳の構造的な比較を行った。またうつ病群に関してはCBCL(子ども行動チェックリスト)、Birleson自己記入式抑うつ評価尺度(DSRS-C)、PedQLを用いて症状の重症度、日常機能および生命の質(QoL)と脳の構造的な変化との相関を求めた。 また、子どものうつ症は、候学的に、従来の報告で示されていたように外在化症状あるいは攻撃的行動として表出されることが多く、自殺に関連する行動も多く、QoLの低下および日常機能の低下も著しく、適切な介入がこの研究からも求められることが明らかになった。 この研究により、子どものうつ病の生物学的な理解を深め、また子どものうつ病の症候学的な特徴および子どものうつ病の日常機能への影響が明らかになったことにより、子どものうつ病の診断・治療の重要性、特に子どものうつ病群に自殺行動が多くみられたことから今後ライフスタイルを通しての自殺予防が重要であることも明らかになった。
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