研究課題/領域番号 |
20591428
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研究機関 | (財)神経研究所 |
研究代表者 |
杉浦 建生 (財)神経研究所, 研究部, 研究員 (30378202)
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研究分担者 |
林田 健一 財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (30338933)
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キーワード | ナルコレプシー / QOL / Epworth sleepiness scale / 覚醒維持薬 / 経頭蓋磁気刺激 / 情動脱力発作 |
研究概要 |
1.精神刺激薬による治療中のナルコレプシーのQOLをSF36を用いて評価し、治療前の症例、ならびに健常者との比較をなすとともに、症例の臨床背景ならびに社会機能水準(職場適応、周囲からの援助を含めて)との関係について検討した。その結果、治療中の症例でのQOLは、健常者に比べて劣るだけでなく、未治療患者での水準と差異がみられなかった。また、治療中患者でのQOLの低下要因としては、周囲からのサポート、職場適応が有意であり、過眠の重症度、情動脱力発作の有無はQOLと関連がなかった。これより、ナルコレプシーでは、眠気水準の抑制を目指した治療のみならず、社会的なサポートが重要であると考えられ、この点を重視した啓発活動を目指すべきと考えられた。 2.経頭蓋磁気刺激を用いた運動野刺激が、ナルコレプシーでのCAを誘発するか(刺激後抑制電位により表現)という点について、CAを伴うナルコレプシー症例のみならず、CAを有さない症例についても検討を行った。これにより、CAを有する症例では34%が刺激後抑制電位が認められること、さらにはCAを有さない症例で20%で同様の所見が得られることを明らかにした。この所見は、経頭蓋磁気刺激がCA誘発-診断に貢献することを示しているだけでなく、非CA合併ナルコレプシーとCA合併例の病態共通性を示唆するものである。今後は、クロミプラミンによる治療後の運動抑制電位所見とCAとの関係を検討し、臨床応用に向けたアプローチを加える予定である。
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