研究課題
眠気の性情の酷似した、情動脱力発作を伴うナルコレプシー(NA with CA)、情動脱力発作を伴わないナルコレプシー(NA w/o CA)、長時間睡眠を伴わない特発性過眠症(IHS w/o LST)について、その症度特性と夜間睡眠特性を明らかにするため、終夜ポリソムノグラフィ(PSG)指標、反復睡眠潜時検査(MSLT)の入眠潜時の日内変動の特徴について検討した。その結果、NA with CAでのPSG上での睡眠効率、睡眠段階3-4の割合(%)は、他の2群に比べて有意に低く、逆に睡眠段階1%と中途覚醒頻度は有意に高かった。NA w/o CAとIHS w/o LSTの間で、一定の差異はなく、対象と同年代の人口の代表値と同水準であった。MSLTでの入眠潜時は、10:00のセッションでの値が、NA with CAとNA w/o CAではその他の時間帯に比べて有意に延長していたのに対し、IHS w/o LSTではこのような傾向は認められなかった。また、SLの値は、どの時間帯においても、NA with CA<NA w/o CA<IHS w/o LSTの順であった。以上より、CAの存在は、日中の眠気水準に影響するとともに、夜間睡眠維持不良(sleep pressureの不安定化)にも関与していることがわかった。また、NA2群で、早朝の時間帯のSLが延長していた点については、概日的な眠気水準低下の影響と、疲労による睡眠圧低下が、早朝には生じていないことが関与していると思われ、この点を考慮することにより、効率的な精神刺激薬投与法の工夫が可能であると考えられた。
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