研究課題
(1)難治性うつ病患者13名において、拡散テンソルのグループ解析を行った。その結果、この患者群では、両側大脳白質の一部にFA(fractional anisotropy)の低下が認められた。このFA低下は、Global Assessment of Functioning(GAF)scaleと有意な相関を認めた。難治性うつ病では、fronto-striatal neural circuitsに異常が生じていると推測された。しかしながら、患者数がやや少ないため、さらに患者数を増やして検討を続けることとした。(2)うつ病が疑われ、かつ、未治療の患者9名において、延べ14回の拡散テンソル撮像を行った。この患者群に関しては、当初期待したほど患者が集まらなかった。また、一度検査した患者さんの、経過観察(1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後)が行えない症例も少なくなかった。症状が軽快すると受診しなくなる傾向があった。個々の症例で、拡散テンソル解析を行ったが、一定の傾向は見いだせなかった。すなわち、FAの異常がほとんどない症例と大脳白質の一部にFA低下を認める症例があり、後者ではFA.の異常部位は症例毎に異なっていた。個々の症例で病態が異なる可能性があり、引き続き臨床経過を観察することとした。最終診断をつけるまでには、さらに時間を要する症例もある。なお、症例数が不足しており、次年度も継続して患者のリクルートを行い、その後に統計学的解析を行うこととした。
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臨床精神薬理 11
ページ: 1887-1898
Neuro Endocrinol Lett 29
ページ: 351-358