サイクロトロンが不要な82Rbを用いた心筋血流定量PET検査法の開発において、投与放射能量の低減と3D収集専用装置でも実施可能な検査になることを目指して、3D収集においても2D収集と同程度の安定した局所心筋血流値の算出が可能になるよう、定量値を安定化させる最小二乗法の改良を試みた。【方法】健常例12名に15O-H2Oによる2D、10分間のダイナミック収集による心筋血流量定量PETを実施し、さらに82Rbによる6分間のダイナミック収集を2Dおよび3D収集にて行った。82Rbの投与量は、2D収集では1500MBq、3D収集では500MBqとした。左室内腔と心筋全体の3次元関心領域と16箇所の局所心筋関心領域を自動設定し各々の時間放射能曲線を求めるプログラムを作成した。シングルコンパートメントモデルにて局所心筋のK1、k2、血流量、および心室内腔からのスピルオーバーを非線形最小二乗法で求める際に、計算を安定化させるために各変数の初期値をさらに最小二乗法で推定する2重の最小二乗法アルゴリズムを考案した。【結果】15O-H2Oと2D収集82Rbでの局所心筋血流量の相関係数は、r=0.79(p<0.01、n=192)、15O-H2Oと3D収集82Rbでの局所心筋血流量の相関係数は、r=0.73(p<0.01、n=192)で、3D収集で有意な相関の低下は認めなかった。82Rbでの局所心筋間の血流量のばらつき(偏差平均)は、2D収集では0.04±0.01(mL/min/g)、3D収集では0.05±0.02(mL/min/g)で、3D収集において有意な領域間の血流量のばらつき増加は認めなかった。【結論】82Rbを用いた心筋血流定量PET検査において、3D収集においても2D収集と同程度の安定した局所心筋血流値の算出が可能となるアルゴリズムを開発した。
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