研究課題
心筋虚血後のリモデリングにおける細胞外蛋白質の関与に関して、ラット心筋虚血再灌流モデルにおいて基礎的検討を行った。細胞外マトリックス糖タンパク質の一つであるtenascin Cの発現にフォーカスをしぼって検討した。画像化の手段としてtenascin Cに対する抗体をI-125で標識し、その分布を検討することでtenascin Cの発現を定量化した。虚血時間は20分,30分とし、再灌流後の経時的なtenascin Cの発現をI-125-anti-tenascin C antibody(TNC)を用いてオートラジオグラフィにて画像化した。TNCは非虚血部では集積を認めず、虚血領域の中心部の約50-70%の領域に認めた。20分虚血後再還流1日では正常部に対する虚血部の集積比が1.81±0.53であり、3日後では2.46±0.91、7日後では集積が著明に低下し、1.23±0.17であった。一方30分虚血群では再還流1、3日後の虚血部集積比はそれぞれ2.99±0.90、2.71±0.80と高値を示し、7、14日後では1.94±0.23、2.06±0.37と低下し、28日後には1.47±0.27とさらに低下し、極軽度の集積を示すのみとなった。集積は病理学的に梗塞部と正常部の境界領域にみられたが、虚血中心部に島状に残る心筋部周囲の間質にも集積しており、オートラジオグラフィの像では全体として虚血部に瀰漫性ないし散在性の不均一な集積としてみられた。以上より、心筋リモデリングに関与する細胞外マトリックス糖タンパク質であるTenascin Cは虚血再還流後少なくとも1日目で発現し、20分虚血では3日にピークとなり7日では著明に減少するが、30分虚血では3-7日でピークとなりその後28日まで徐々に低下することが判明した。
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