研究概要 |
ラット心筋における虚血再還流モデルを用い、心筋虚血後のリモデリングにおける細胞外マトリックス糖タンパク質の一つであるtenascin C(TNC)の発現にフォーカスをしぼって検討した。画像化の手段としてTNCに対する抗体をI-125で標識し(I-125-TNC)、その分布を検討することでTNCの発現を定量化した。またI-125-TNCの特異性を検討するために非特異的な1-125標識抗体の集積と対比するとともに、組織切片における抗TNC抗体による免疫組織染色の陽性部とオートラジオグラフィでの集積の空間分布の対応を検討した。その結果、30分虚血再還流3日モデルにおいて非虚血部に対する虚血部の集積比はI-125-TNCでは2.71±0.80であったが、I-125非特異抗体では1.36±0.27であり有意に低かった(P<0.005)。また免疫組織染色陽性部とオートラジオグラフィでの集積部は良く一致した。従ってI-125-TNCの集積はTNCへの特異的な集積を示ししていることが確認された。次にI-123-TNCによる生体断層画像化(single photon emission computed tomography, SPECT)の可能性をみるためにI-125-TNCの体内分布の変化を検討した。30分虚血再還流3日モデルにおいて心臓(梗塞部,非虚血部)、肝臓、肺臓、血液、腎臓、筋肉、胃の% injected dose/g(%ID/g)をI-125-TNC静注1,5,24時間後に測定した。その結果、1,5,24時間後の梗塞/肝臓、梗塞/血液、梗塞/肺の%ID/g比はそれぞれ0.69±0.45、0.66±0.16、0.82±0.25ならびに0.91±0.087、1.85±0.14、4.8±1.0と1.20±0.71、1.97±0.19、4.9±1.2であった。従って投与5時間以降でSPECTが可能であると考えられた。
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