研究概要 |
病理学的に肝線維化スコアが確定した22例を対象に撮像されたcine-tagging画像(16mmおよび20mmの格子を用いてそれぞれ矢状断、冠状断の4種類)を解析し,全例についてBending energy(BE)を計測した.各々の画像から得たBE値につき、F0とF1以上,F1以下とF2以上,F2以下とF3以上,F3以下とF4の2群に分類し,それぞれのBE値を比較した.また肝線維化に対する診断能についても検討した.16mm格子を用いた矢状断から得られたBE値のみが,F0(1.54±0.63)よりもF1以上(1.48±0.60,P=.013)で,またF1以下(0.97±0.12)よりもF2以上(0.96±0.36,P=.019)で有意に低値を示し、F1以上およびF2以上に対するAUC値はそれぞれ0.798,0.802であった.また,同手法の再現性を10人の健常肝ボランティアで検討した結果,級内相関係数は0.59から0.83(P=0.001-0.046)であった. 本検討においては、cine-tagging画像を用いたMREは慢性肝障害の診断に有用である可能性が示唆され,本手法の再現性も比較的高い結果が得られた.現時点において,臨床的な応用が可能となるように,BE値の自動計算化に向けて画像解析ソフトウェアを開発中である. また,定量評価の方法として,今後はフーリエ変換を用いたFFT法でも検討する予定である.
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