平成20年度は、心臓CTデータから冠動脈支配領域標準化ブルズアイマップを作成した。虚血性心疾患を疑い心臓CTを施行し、かつ、高度な冠動脈閉塞を認めず主要な冠動脈の走行が充分に確認でき、拡張型心筋症などの高度の左室の拡大を認めない20症例を対象とした。心臓CTで得られたデータから冠動脈と心筋の位置情報の極座標展開を行い、いわゆるブルズアイマップを作成するプログラミングを行った。このうち心筋の極座標開展では核医学の手法を応用して三次元から二次元への心筋の展開を行い、その上に主要な冠動脈の走行を三次元的に重ね合わせる手法を用いた。このブルズアイマップ上で心筋をAHA米国心臓病学会推奨の17セグメントに分割し、それぞれのセグメンを支配ずる冠動脈の枝番号を視覚的に同定した。これにより心筋のブルズアイマップ上での冠動脈支配領域をすべての症例のすべての心筋セグメントで決定でき、それぞれの標準的支配領域を決定し、冠動脈支配領域標準化ブルズアイマップの作成に成功した。これまで心筋の冠動脈支配はもっぱら冠動脈造影検査から導き出された指標をもとに検討されてきた。今回実際に冠動脈と心筋の情報が同時に得られる心臓CTから冠動脈支配に関する標準化マップ、すなわち冠動脈支配領域標準化ブルズアイマップの作成に成功したことで、今後の短軸断層像とのリンクにいたるプログラミングの将来展望が開けたと考える。
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