研究概要 |
本研究の目的は関節リウマチにおける関節軟骨の病態を3テスラMRIで解析し,関節軟骨の早期変化,滑膜炎,骨変化との関係を明らかにするとともに,早期RAを対象にした前向き研究を通して,予後との関連を探ることである。 今年度は関節軟骨および軟骨下骨の評価に最適な3テスラMRIの撮像法および評価法を確立し,さらに各年齢における正常コントロール像を得るため,健常膝の3テスラMRI撮像を行った。膝関節専用の8チャンネルコイルを用い,次の4シリーズの撮像を行った。1)3D-FIESTA-C(撮像時間約18分):関節軟骨と軟骨下骨の構造を同時に評価するための高解像度画像,2)T2-map,脂肪抑制併用SPGR(各撮像時間約8分):関節軟骨の形態および早期変性の評価,3)STIR(撮像時間約5分):骨髄および滑膜炎の評価。 ボランティア32名(全て女性,年齢56〜84歳,平均56歳),32膝関節について上記4シリーズの撮像を行った。約50分の検査時間となるが,全て検査が完遂できた。これらの画像データを用いて,骨梁構造解析,T2mapの作成,軟骨厚の測定,骨髄変化の有無を評価した。3D-FIESTA-Cによる高分解能画像は軟骨下骨の骨梁の微細構造を捉えることが可能で,骨梁構造の解析に適している。3テスラMRIは関節軟骨と骨梁構造を定量的に同時に解析可能であり,軟骨下骨の骨梁構造と関節軟骨障害の関連把握に有用性が高いと考えられた。来年度以降は関節リウマチ症例も加えて解析を行う。また,関節軟骨の質的評価のひとつとしてNa-MRスペクトロスコピーの応用を検討しており,Na-MRスペクトロスコピーの基礎的検討も加える予定である。
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