研究概要 |
目的:膝関節MRIにおける関節軟骨のT2 mapの作成を行い,部位および軟骨損傷の程度とT2値の相関を検討する。 方法:無症状のボランティア症例84例(84膝)について,膝関節の3TMRIを行った。軟骨損傷の程度は1mmスライス厚の3D-FIESTAを用いて,2名の読影者がgrade0-4に分類した。T2mapについては,大腿骨内顆および外顆の中心を通過する矢状断面において,大腿骨内顆下面(IMF)と後面(PMF)大腿骨外顆の下面(ILF)と後面(PLF)内外側の脛骨高原(MTP,LTP)の6カ所について,関節軟骨全体を囲むROIを設定し,T2値の測定を行った。 結果:軟骨損傷は膝内側で頻度が高く,IMFで最も高く(grade2以上が59.5%),次いでPMF (grade2以上が78.7%),MTP(grade2以上が29.7%)に認められた。Grade0のグループ22例(132部位)におけるT2値は,内側および外側コンパートメントともに大腿骨後面(PMF,PLF)のT2値が有意に高かった。このような部位によるT2違いを反映させるため,grade0における部位毎のT2値を基準にしたT2 ratio=(部位毎のT2値-部位毎の正常群T2値/部位毎の正常群T2値)×100を算出した。このT2 ratioは部位別の軟骨損傷のgradeとの間に有意な相関を示した(p<0.01)。 結論:無症状の膝関節における関節軟骨のT2値は,形態的に異常を認めない場合でも,部位で異なることが明らかになった。また,軟骨損傷の頻度は膝内側において頻度が高く,T2値も上昇を認めた。膝関節の軟骨評価においてはこのような部位による違いを考慮する必要があり,部位におけるT2値の違いを反映したT2 ratioは部位別の軟骨評価に有用と考えられた。
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