研究課題/領域番号 |
20591456
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
田岡 俊昭 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30305734)
|
研究分担者 |
中川 裕之 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (70231462)
吉川 公彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (10161506)
岸本 年史 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60201456)
木内 邦明 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20398449)
|
キーワード | アルツハイマー病 / 拡散テンソル画像 / 大脳辺縁系 / 拡散能 / 拡散異方性 / 認知症 / 拡散テンソルトラクトグラフィー / 鉤状束 |
研究概要 |
当初計画したとおり、アルツハイマー病の重症度の推移等の臨床経過と、辺縁系回路を構成するPapez回路およびYakovlev回路の拡散能の上昇、拡散異方性低下という拡散テンソル異常の程度との関連を解明する事を目的に、研究開始以降のべ約500例、2009年4月から2010年3月の期間では、約200例の症例の臨床所見、心理テスト,MRI通常画像、容積画像、拡散テンソル画像の検討を行った。拡散テンソル画像の解析により、アルツハイマー病では重症度に応じて、鉤状束および帯状束の拡散異方性の低下、拡散能の上昇がみられることを確認できた。現在比較的広く行われている側頭葉内側部の萎縮の程度を評価するVSRADによる解析と比較しても、上述の拡散異方性の低下、拡散能の上昇は、心理テストであるMMSEのスコアと良好な相関を示した。また、拡散テンソル画像の解析に際して、鉤状束の描出に用いる拡散異方性の閾値の選択により・拡散テンソルの測定値が影響を受ける事があきらかとなった。ただし、閾値の選択によってアルツハイマー病の重症度と拡散異方性、拡散能の関係は変わることはなく、一定の閾値を用いることで、測定値と重症度との関連は担保されることが判明した。群間の有意差は拡散異方性=0.15~0.2の閾値を用いたときに鋭敏に検出されることも明らかとなった。現時点でもっとも長く経過観察できている症例は3年間であり、上記で明らかとなった解析の至適条件を用いて、引き続き拡散テンソル画像による症例の検討を重ねていきたい。
|