研究課題/領域番号 |
20591457
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
大倉 一枝 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (60094827)
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研究分担者 |
久下 裕司 北海道大学, 学内共同利用施設, 教授 (70321958)
秋澤 宏行 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90311795)
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キーワード | 放射線 / 核医学診断 / ポジトロンCT / 腫瘍 / 血管新生 |
研究概要 |
本研究は腫瘍の増殖に伴う血管新生をイメージングするため、血管新生因子の一つであり、腫瘍に高発現するチミジンホスホリラーゼを標的とするポジトロン標識薬剤の開発を行うものである。これまでに^<11>C標識チミジンホスホリラーゼ阻害剤に関する検討を行い、このチミジンボスホリラーゼ阻害剤に基づく薬剤設計が腫瘍イメージングに有用であることを示唆する成果を得ている。 この知見に基づき、より半減期の長いポジトロン標識体である^<18>F標識チミジンボスホリラーゼ阻害剤に展開してその有用性を検討するため、^<18>F標識前駆体の合成法の確立を目指した。標識前駆体としてはアミノメチル基を有するピリミジン類の金属化合物を用いることが有利であることが分かり、6-クロロメチルウラシルを出発原料として、5ステップの反応でそれを得ることができた。しかし、その総収率はかなり低いものであり、前駆体の合成法の確立には更なる検討が必要であることが示された。また、目的物の非放射性フッ素体のチミジンホスホリラーゼ阻害活性を測定するためには、非放射性化合物のより効率のよい合成経路について同時に検討を進める必要があることも示された。 今後、フッ素導入部位とチミジンボスホリラーゼ阻害活性の関連を調べながら、腫瘍細胞および担がん動物モデルにおけるこの標識薬剤の集積性を明らかにする。このような新規血管新生イメージング剤の開発はがんの早期発見を可能にするばかりでなく、がんの質的な評価を可能にすることにより、適切な抗がん剤の選択やより効果の高い治療法の選択へとつながることが期待される。
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