「結果」 (1) ラット虚血再灌流モデルを用いたI-125標識抗H-FABP抗体イメージング 健常ラットではI-125標識抗H-FABP抗体は心筋へはほぼ無集積であった。血流製剤であるTc-99m tetrofosmin及び心筋脂肪酸代謝イメージング製剤であるI-123 BMIPPを用いてのラット心筋虚血イメージングでは虚血による血流低下部位に一致して脂肪酸イメージング製剤の集積増加、及び同じ部位にI-125標識抗H-FABP抗体の集積が見られた。 (2) 免疫染色による虚血障害時におけるH-FABPの局在の同定。 連続切片を用いて免疫染色を行った。3%ホルマリン固定後、一次抗体にイメージングで用いたH-FABP抗体(1:500)を用い、DAB法を用いてウサギ由来の抗ラットIgG二次抗体を用いて染色を行った。染色切片は光学顕微鏡を用いて20倍、400倍で評価した。20倍ではH-FABP抗体は虚血部に分布しているのが確認され、400倍では心筋および周辺の炎症細胞が染まっているのが確認された。その局在よりI-125標識抗H-FABP抗体の集積部位、即ち虚血再灌流部位に一致していた。 「考察」 H-FABPは虚血時早期に心筋組織の血管内より間質に漏出すると考えられており、免疫染色で炎症細胞が染色された事から、急性虚血により漏出したFABPが炎症細胞へ取り込まれた事象をイメージングで見ていると考えられる。今後臨床における急性期画像診断に応用できる可能性が示された。
|