研究課題/領域番号 |
20591466
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
興梠 征典 産業医科大学, 医学部, 教授 (60195691)
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研究分担者 |
大成 宣弘 産業医科大学, 医学部, 助教 (20233207)
掛田 伸吾 産業医科大学, 医学部, 講師 (30352313)
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キーワード | 3T MRI / プロトンMRスペクトロスコピー / γ-アミノ酪酸 / グルタミン酸 / 慢性疲労 / 交代制勤務 |
研究概要 |
夜間勤務に伴う慢性疲労状態の病態解明や対策は進んでおらず、夜間勤務の影響の客観的評価法が求められている。夜勤従事者では、主要な興奮性、抑制性の神経伝達物質である脳内グルタミン酸(Glu)とγ-アミノ酪酸(GABA)に変化が生じている可能性があり、超高磁場の3T MRスペクトロスコピー(MRS)を用いMEGA-PRESS法という手法により計測した。この計測には精度の高い装置の調整が必要であり、習熟した1名の研究分担者が行った。また脳内GluとGABAのピークはきわめて微小であるため、その解析にはLC modelという専用のソフトウェアを用い、かつ解析に習熟した別の研究分担者が行った。日勤従事者16名、夜勤従事者16名について、脳内GluとGABAの日内変動を計測した。具体的な夜間勤務業種としては、1年以上の夜間勤務に従事する看護師、救急救命医師等を対象とし、脳内GluとGABAは、朝、夕の決められた時間帯で2回測定した。その結果、それぞれの業種において異なる日内変動が観察されたため、本年度はその詳細な解析を行った。すなわち正常コントロールとしての日勤従事者と夜勤従事者の脳内Glu・GABAの日内変動を比較したところ、前頭葉のGABA/Cr比は夕方において、夜勤従事者が日勤従事者よりも有意に低い値を示した(3.77 vs 1.75,p<0.05)。一方、Glu/Cr比では、朝夕ともに両群間に有意差を認めなかった。従って、交代制勤務が脳内GABA濃度に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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