研究概要 |
慢性脳主幹動脈閉塞疾患の貧困灌流における磁化率強調像およびecho-planar T2*強調像(GRE-EPI)の所見について^<15>Oガスを用いたポジトロン断層撮影法(PET)により測定される脳循環代謝のパラメータを対比して、酸素代謝摂取率の亢進に関連するMR所見を検討した。MRAにて片側性主幹脳動脈に高度狭窄もしくは閉塞のみられた31例(梗塞発症21例を含む)と健常ボランティア12例を対象として、1.5T MR装置を用いて磁化率強調像(TR 56ms,TE 40ms,slice厚5mm,matrix size,157x256,FOV 230mm,flip angle 25°)とGRE-EPI(54ms,slice厚5mm,matrix size 128x128,FOV 230mm,flip angle 90°)を撮影した。PET検査はMRI前後36時間以内に施行し、吸収補正のためにトランスミッションスキャンを施行した後、C^<15>O 1.3GBqガス吸入、150_2 3.0GBqガス吸入、H_2^<15>O 0.4GBqの静注を用いて、脳血液量、酸素摂取率、脳血流量(安静時、CO_2負荷、acetazolamide負荷)を得て、脳血流量が低下し、CO_2負荷およびacetazolamide負荷におる血流上昇が消失もしくは軽度となって血管反応性が低下し、脳血液量がやや上昇して酸素摂取率の局所的な亢進のみられる貧困灌流の領域を調べた。慢性脳主幹動脈狭窄・閉塞疾患12例において、磁化率強調像にて虚血領域の還流静脈の増強所見を認め、^<15>O-ガス-PETでの酸素摂取率の局所的な亢進のみられる貧困灌流の領域と対応した。酸素代謝が亢進し、還流静脈中のオキシヘモグかコビンの減少とデオキシヘモグロビンの増加によるものと考えられ、健常ボランティアではデオキシ化を反映した所見はみられなかった。磁化率強調像での虚血領域の還流静脈の拡張所見は貧困還流における酸素摂取率の局所的な亢進と関連することをMRIとPETとの直接対比により示した。GRE-EPIにて虚血領域の実質の低信号変化は認めず、急性期脳梗塞でみられるような虚血領域のGRE-EPIでの低信号変化は慢性脳虚血ではみられなかった。
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