研究概要 |
慢性脳主幹動脈閉塞疾患の貧困灌流における磁化率強調像およびecho-planar T2*強調像(GRE-EPI)の所見について^<15>Oガスを用いたポジトロン断層撮影法(PET)により測定される脳循環代謝のパラメータを対比して、酸素代謝摂取率の亢進に関連するMR所見を検討した。MRAにて片側性主幹脳動脈に高度狭窄もしくは閉塞のみられた61例(梗塞発症43例を含む)と健常ボランティア20例を対象として、1.5T MR装置を用いて磁化率強調像(TR 56ms, TE 40ms, slice厚5mm, matrix size, 157x256, FOV 230mm, flip angle 25°)とGRE-EPI(54ms, slice厚5mm, matrix size 128x128, FOV 230mm, flip angle 90°)を撮影した。PET検査はMRI前後36時間以内に施行し、吸収補正のためにトランスミッションスキャンを施行した後、C^<15>O 1.3GBqガス吸入、15O_2 3.0GBqガス吸入、H_2^<15>O 0.4GBqの静注を用いて、脳血液量、酸素摂取率、脳血流量を調べた。61例中37例で^<15>O-ガス-PETでの酸素摂取率の亢進がみられ、その37例中30例において、磁化率強調像にて虚血領域の還流静脈の増強所見を認めた。酸素摂取率の亢進のなかった24例および健常ボランティア20例では還流静脈の増強所見はみられなかった。磁化率強調像での虚血領域の還流静脈の拡張所見は貧困還流における酸素摂取率の亢進と対応することをMRIとPETとの直接対比により示し、還流静脈中のオキシヘモグロビンの減少とデオキシヘモグロビンの相対的な増加によるものと考えられた。GRE-EPIにて灌流静脈の増強所見は3例でのみ観察され、慢性脳主幹動脈閉塞疾患の貧困灌流の検出には磁化率強調像が有用であった。
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