研究課題/領域番号 |
20591467
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研究機関 | 秋田県立脳血管研究センター(研究部門) |
研究代表者 |
木下 俊文 秋田県立脳血管研究センター(研究局), 放射線医学研究部, 部長 (70314599)
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研究分担者 |
茨木 正信 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 放射線医学研究部, 主任研究員 (40360359)
篠原 祐樹 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 放射線医学研究部, 流動研究員 (60462470)
木下 富美子 秋田県立脳血管研究センター(研究部門), 放射線医学研究部, 研究員 (50304225)
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キーワード | MRI / 磁化率強調像 / PET / 酸素摂取率 / ペナンブラ |
研究概要 |
慢性主幹脳動脈閉塞症61例を対象にMRI磁化率強調像とecho-planar type T2*強調像(GRE-EPI)を撮影し、^<15>Oガスを用いたポジトロン断層撮影法(PET)により脳酸素摂取率(OEF)を測定した。61例中37例でOEFの亢進がみられた。OEFの亢進していた37例中30例で磁化率強調像に表在大脳静脈もしくは深部静脈の低信号の増強所見がみられ、OEF亢進のみられなかった症例では磁化率強調像で静脈増強所見は認めなかった。梗塞発症例では静脈増強所見が高率に観察された。GRE-EPIでは3例のみに表在大脳静脈の増強所見がみられ、PETではOEFが亢進していた。磁化率強調像における静脈増強所見が貧困灌流における酸素代謝亢進によってOEFが上昇して流血中のデオキシ化を反映していることをMR磁化率強調像とPETパラメータの直接対比により示した。 急性期脳梗塞ではGRE-EPI所見の検討を行った。MRAにて内頸動脈~中大脳動脈水平部の片側性閉塞のみられた急性期塞栓性梗塞46例を対象とした。初回GRE-EPIにて40例で表在大脳静脈に24例で深部静脈に低信号の増強所見を認めた。11例では虚血領域の実質に低信号変化がみられ、虚血に伴う酸素代謝亢進によるデオキシ化を反映した所見と考えられた。3例では拡散強調像にて高信号変化を認めずにGRE-EPIにて塞栓子のみられた血管支配領域から還流する表在大脳静脈に増強所見を認めた。Follow-up MRIにて早期再開通とともにGRE-EPIのデオキシ化を反映した静脈低信号変化は消失し、再開通を生じない症例では発症翌日には静脈低信号変化は減弱傾向を示したが、虚血が進行性の際には発症4日後まで静脈の低信号変化が強くみられる症例も存在した。GRE-EPIのデオキシ化を反映した低信号変化は主幹動脈の塞栓性閉塞に伴う急性期脳虚血における貧困還流および梗塞の初期過程にみられることが示唆された。
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