今年度は、放射光単色X線を用いた微小血管造影を行うために最適なX線分光素子を製作するために、(1)シリコンカーバイト粒子やアルミナ粒子による研磨法を含むX線分光素子(シリコン結晶)表面研磨方法に関する文献および実地調査、(2)(1)の結果を考慮しながら、得られる単色X線画像のバックグランド強度を一様とするため2種類の結晶成長方式のうちFZ方式で作られたシリコンインゴットを用いた、表面研磨状態および放射光ビーム幅を拡大するためのブラッグ回折における非対称度を変えた各種評価用X線分光素子の製作、(3)得られる単色X線画像の画質評価(空間分解能、濃度分解能、空間的一様性(歪み)など)を定量的に行うためのMTFチャートを含む各種標準ファントームの準備、(4)得られる単色X線画像の撮像過程を考慮した画質改善を行うため、および単色X線画像の画質を定量的に評価するための画像処理ソフトウェアの開発を行った。また、評価用X線分光素子の一部を用いた放射光単色X線による予備実験を行い、分光素子の非対称反射により放射光ビーム幅を設計どおりに拡大できること、得られる単色X線の積分反射強度を通常研磨状態のX線分光素子で得られる積分反射強度の3倍程度に大きくしても、目的とする空間分解能24μmの画像を得ることができることを、X線CCD検出器を用いて確かめることができた。これらにより、来年度以降の放射光単色X線を用いた実験的研究を進めるための準備を終了することができた。
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