今年度は、昨年度までに得られた知見をもとに、開発・評価を行ってきた高空間分解能二次元動画像放射光単色X線イメージングシステムの医学応用として、冠動脈系の形態・機能の評価法開発、肺がんの機序の解明、各種肺疾患に関する肺動脈、肺胞の形態・機能の評価法開発、低濃度造影剤による血管造影法の開発、微小血管系イメージングによる腎機能評価法の開発などを目的とする微小動物による血管造影検査を行い、医学的観点からの上記イメージングシステムの評価を中心とした研究を実施した。また、これらの実験に関連して、昨年までに得られた各種X線光学素子と各種撮像系(X線CCD検出器とX線HARP検出器)を組み合わせて用いた場合に得られる単色X線画像の空間分解能、濃度分解能、空間的一様性(歪み)などに関する知見を考慮しながら、それぞれの研究目的に、より適した蛍光板を利用するための基礎的検討も、引き続き、実施した。さらに、新しい二次元動画像検出器(Pilatus)に関する基礎的評価もファントームを用いて行い、表面を研磨したX線光学素子と組み合わせることで単色X線(エネルギー:33 keV)の積分反射強度を大きくすることができ、より高感度で単色X線画像を得ることができる可能性を示すことができた。これらにより、それぞれの研究目的に最適な放射光単色X線イメージングシステムに関する評価を具体的に実施することができた。得られた知見は、医学界への幅広いフィードバックを考慮しながら、この研究分野のさらなる発展のために利用していきたい。
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