研究概要 |
平成19年度までに当施設にて新たな治療法(コアキシャルバルーンカテーテルシステムを用いての治療,及び多数の流入静脈を有する症例に対する脾動脈の一時的血流遮断の併用治療)にて加療した胃静脈瘤例の治療成績に関して評価を行い,従来のB-RTO法にて加療した症例と比較・検討を行った所,現在研究中である新たな方法では従来の方法よりも手技の成功率は高く,側副血行路のコイル塞栓術等の追加手技を要した症例も明らかに少なかった。また,静脈瘤を血栓閉塞させる為の硬化剤も従来の治療法と比較して少量で十分な治療が出来ることが明らかにされた(丸野美由希、清末一路、他.第15回門脈圧亢進症学会総会2008年11月)(Hiro Kiyosue, ISIR&JSIR2008年5月). これらの結果から,新たな治療法を導入する事で,治療効果の向上,煩雑な追加手技(側副血行路のコイル塞栓術)を回避することによる手技の簡便性,安全性の向上,硬化剤使用量を抑えることによる安全性の向上が期待され,ひいてはより洗練されたB-RTO手技の標準化・普及に貢献を果たすであろうと考えられる. 上述の如く,我々が新たに開発したコアキシャルバルーンカテーテルシステムを用いての治療は有用と考えられるが,問題点の一つとして従来の治療デバイスと比較してカテーテル径が大きいという点が挙げられる.現在,現行のシステムの細径化に取り組んでおり,血管モデルや実験用動物を用いて基礎実験を行い,屈曲した血管内での追従性,拡張時のバルーン強度、血管壁への圧着の程度について現行のシステムと改良型システム(試作品)との比較検討を行った。その結果血管モデルではカテーテルの細径化をはかりながら現行のシステム以上の追従性が確認された.今後、さらなる基礎実験の後、同細径化システムの臨床応用を行いその安全性および有効性を検証する.
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