研究概要 |
機能を考慮した咬合面形態を制作するためには形態情報と運動情報の統合が必要である.また,その情報から補綴装置を制作するCAD/CAMの精度が重要となる.そこで従来法とCAD/CAMシステムで製作した全部鋳造冠を比較した.支台歯にはエポキシ製歯牙模型を用いて,全周ショルダー形成した全部鋳造冠用の支台歯形成を行った.作業用模型の製作は顎体模型を複印象材で複印象後,超硬石膏で製作した.支台歯形成を行なった作業用模型を分割副歯型模型にし,これを光学式表面形状認識装置にて表面形状データを計測,3次元画像ソフトにて3次元再構築像を作製後,モデリングソフトFree Formにて,全部鋳造冠の形態回復を行ない,その画像データを3次元ワックス造形装置R66にてワックスパターンを支台歯に対して3個,計6個製作した.これを従来法のワックスパターンと比較した,支台歯マージンに対するワックスパターンの被覆量の計測は,支台歯の歯軸方向に対して直角にデジタルマイクロスコープVHX-200/100Fで距離を計測した.今回, CAD/CAM Systemを開発しその紹介と全部鋳造冠製作を試みた結果1.本システムにより全部鋳造冠の製作が可能であった,2.マージン被覆は,従来法に比べ50μ〜100μの誤差を認めた.この誤差は,歯軸の傾斜による支台歯のアンダーカットに起因する表面形状の測定誤差,3次元再構成画像制作時のレジストレーション,ポリゴンの生成時に起因する誤差である可能性が示唆された. 今後, CAD/CAMシステムの精度向上および補綴装置の機能咬合面形態と解剖学的咬合面形態の統合の検討を行う予定である.
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