研究概要 |
一昨年,CT三次元画像を用いた上気道・舌・下顎骨の体積,舌/下顎骨比率(T/M比)とBMI・AHIの関係についての検討に続き,OSA患者のセファロを収集し,頭位について予備的検討を行った.その結果,健常者と比較し,頸部の角度が前傾傾向にあることがわかった. そのため,昨年度は,対象を60名に増やし研究を継続した.また,頭位に加え,頸椎の湾曲度についても併せて検討を行った. OSA患者における,頸部の角度は,平均109.1±5.97゜で,健常者(100.98゜)よりも大きく,前傾傾向にあった.また,気道の前後径と正の相関が認められた.しかし,OSAの重症度を示すAHIとの相関は認められなかった.頸部角度(CVT/NSL)と気道(RGAW)の関係は,RGAW=0.37*CVT/NSL-25.3で表すことができた.そこで,関係式の傾き0.37を用い,各患者で,100.98゜における気道前後径を再計算した結果,AHIとの相関が認められた.これらのことから,頸部角度の変化は,気道形態を保持するための反応であること,診断の際には,頸部角度の標準化が必要であることが示唆された. さらに,頸椎の湾曲度を検討した結果,健常者と比較し,直線化・逆湾曲を示すものの割合が高った.また,湾曲度と頸部角度の間には,負の相関が認められた. これらの結果から,OSA患者では,気道形態を保持するための反応により,骨格的特徴を持つ可能性が示唆された.現在,上記のデータをまとめ,適切な学会誌への発表を予定している。
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