研究概要 |
Znの腫瘍結節への取り込みが、将来腫瘍イメージング剤として使用可能であるかを予測するため、皮下に数種類の腫瘍を移植したマウスにおいて,Zn-65標識Zn-EDDAを尾静脈より投与し、体内分布を調べた。腫瘍結節への集積は3%ID/g前後、腫瘍/血液比は5前後、腫瘍/筋肉比は5を越え、イメージングに十分な値と考えられた。しかし、膵臓の他、骨、肝臓、上部腸管、腎臓への集積は腫瘍への集積より高く、これらの組織での腫瘍の検出は難しく,Zn-EDDAによる腫瘍イメージングは限られた組織でのみ可能ではないかと推測された。 また、腫瘍細胞への取り込みのメカニズムにせまるため、Zn-65標識Zn-EDDAの培養細胞への取り込みと、細胞の増殖速度、細胞内のZn濃度、および数種類のZn-トランスポーターの発現量の関係について検討した。細胞への取り込み量と、細胞の増殖速度や特定のZn-トランスポーターの発現量との間には相関が見られなかったが,Znの取り込み量の高い腫瘍細胞では細胞内のZn濃度が高い傾向が見られ、腫瘍細胞へのZnの取り込みは、細胞の生理的条件、Zn要求度によって決まるのではないかと推測された。今後、細胞の種類を増やしZn取り込みと細胞内Zn濃度等の関係を明確にする予定である。 Zn-63の製造については、これまで金属ターゲットを用いた放射性核種製造の経験のある大型サイクロトロンを用いた製造方法の検討を進め、十分な純度と収量をもったZn-63の製造に成功した。
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